介護保険法に至るまでの推移

現在、わが国の高齢者を支える法律として、介護保険法が施行されています。そこまでに至る高齢者福祉政策の推移をご存じでしょうか。

まず、1963年に老人福祉法が制度化されました。当時の老人福祉サービスは、家庭奉仕員派遣事業を除けば、施設入所型のサービスが主体でした。

次に1973年、ホームヘルプサービス、デイサービス、ショートステイの在宅福祉三本柱推進のための予算が大幅に増額され、同年、老人医療費の無料化も実施されました。しかし、年々進む高齢者の増加によって、医療や福祉の費用の増化も進み、特に、老人医療費の増加は著しく、全国民の医療費に占める割合は伸び続けてしまいました。この状況を受け、老人医療の見直しが行われ、高齢者の自己負担見直しを盛り込んだ老人保健法、いわゆる高齢者の医療の確保に関する法律が制定されました。

また、老人福祉と老人保険に分かれていた高齢者保健福祉サービスは、2000年4月から介護保険法の施行にともない、再編成されました。しかし、市町村間の保険料やサービス供給量の格差の問題、介護サービス需要を満たすことができるのかといった問題が検討課題として残されていました。

実際には、サービス提供量が急増し、それとともにサービスの質への要求が高まったこと、在宅ケアをさらに充実させる必要性があること、サービスに対する市町村の関与の強化が必要なことなどの課題がみられ、2005年に介護保険法が改正。この改正によって、介護予防の推進、認知症ケアの推進、地域ケア体制の整備が3つの方向性として盛り込まれ、地域密着型サービスや新予防給付、地域支援事業、地域包括支援センターなどが新たに創設されました。